「不倫」ってナニ?~法律上のポイントを簡単にまとめました

ガールズトークをはじめとして、主婦コミュニティの最大の関心テーマの一つである「不倫」

ガールズトークでは、「旦那が不倫した」「職場の上司と不倫してしまった」「福山雅治と不倫したい」など不倫に関するトピックスが毎日たくさんあがっています。

しかし、そのように気軽に「不倫」という言葉を使っていても、じつはその中身を厳密に理解しているとは限りません。むしろ実際には、それぞれがめいめい勝手に全然違うイメージを持って語っているかもしれません。

わたしがそれに気づいたのは、「いっそのこと不倫を合法化したら?」というトピでした。

そこでは多くの人が賛成反対それぞれの立場から熱い議論を交わしていたのですが、どうも「不倫」という言葉で理解していることがそれぞれ異なっていて議論がうまく噛み合わないところもあったのです。

不倫は違法なのか? 賠償責任があるのか? あるいはたんにモラルの問題か? あるいはそもそも不倫ってナニ?

じつは、こうした具体的な事柄が意外にきちんと理解されていないのではないでしょうか?

そこでこの記事では、「不倫」という言葉の意味と内容について、私自身のおさらいも兼ねてまとめてみました。

不倫とは

不倫とは「人倫にはずれる」こと

広辞苑によると、不倫とは、「人倫にはずれること。人道にそむくこと。」とあります。

不倫

人倫にはずれること。人道にそむくこと。

『広辞苑(第五版)』

「人倫にはずれる」「人道にそくむ」とは、簡単に言えば、倫理・道徳にそむく、ということになります。

ただ、これでは不倫の意味が広すぎる!

不倫という言葉が現在のように特に「婚姻の倫理・道徳にそむ」の意味で使われるようになったのは、意外に最近のことのようです。しかも辞書では上記のように漠然とした抽象的な意味に過ぎないとすると、現在の不倫の意味は時代的・文化的背景が大きく影響していることが示唆されます。

ということで、定番のウィキペディア。

不倫(ふりん)は本来は、倫理から外れたこと、人の道から外れたことを意味する。近年では特に、近代的な結婚制度(一夫一婦制)から逸脱した男女関係、すなわち配偶者のある男や女が配偶者以外の異性と恋愛し、性交を行うことを指して用いられる(配偶者のいない男や女が、配偶者がいる異性と恋愛し、性交を行う場合も含む)。古くは姦通不義密通といった(くだけた表現では浮気と呼ばれる。この言葉は未婚の恋人同士でも使われる)。……

TBSのテレビドラマ「金曜日の妻たちへ」(1983年)が、「不倫」という言葉を「男女間の不義密通」という意味に変化(固定)させたきっかけと言われている。それ以前のテレビドラマでは「よろめき」(主として、夫のある女性が、他人の男性に心を寄せる)という言葉が一般的に使われていたが、「不倫」という言葉が定着して以降はほぼ死語になっている(なお“よろめき”は三島由紀夫が1957年に発表したベストセラー小説『美徳のよろめき』に由来する)。

「よろめき」…わたしとしては、雅な感じがしてこちらの方が好きです

不倫の文化的起源?「金曜日の妻たちへ」

それはさておき、やはりあの伝説の名ドラマ「金曜日の妻たちへ」が現在の意味での「不倫」という言葉の定着に決定的な役割を演じたようです。

時代はまさに日本がバブル経済に突入していく1980年代前半。

当時開発が急ピッチで進んでいた東急田園都市線沿線の新興住宅街のオシャレな街並みと、当時の中流家庭が憧れていたちょっと贅沢な郊外のテラスハウスが舞台です。

物語では、優しい夫と可愛い子供たちに囲まれて平凡ながら幸せな家庭生活を満喫しているはずだった主婦が、ちょっとした運命のいたずらで男女の不倫な(インモラルな)関係に巻き込まれていきます。

「不倫」というそれまで主婦にとってまさに禁断の果実だったものを大胆かつ繊細に描いて、放送当時は「放送日の金曜夜10時には主婦が電話に出ない」とまでいわれるほど日本中の主婦を釘付けにして一大ブームを巻き起こしました。

当時の時代背景を少し振り返ると、1970年代からすでに女性の高学歴化が進み、また女性が結婚しても働き続ける共働き世帯も増加し、全体として女性の社会的・経済的地位は向上してきていました。

またDINKS(Double Income No Kids: 共働き収入、子供なし)という言葉も流行し、伝統的な「良妻賢母」の呪縛から放たれて、女性たちが自由に自分自身の幸せや願望を考え始めるようになってきた時代でした。

そしてその願望の向かった一つの方向が…

「不倫」だったわけです。

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Image via tbs.co.jp

「不倫」と「不貞」

法律上は「不倫」ではなく「不貞」

それはとも、このように「金曜日の妻たちへ」の大ヒットをきっかけとした「不倫ブーム」によって、不倫という言葉が現在のような「婚姻関係外での男女関係(恋愛関係・性的関係)」を意味するものとして定着したようです。

ということは、ここから推察されるように、「不倫」は法律上の用語ではない、ということになります。

すなわち「不倫」という言葉は日本の法律の条文にはありません(判例には登場しますが)。

代わりに、ほぼそれに該当するものとして「不貞」があります。

すなわち、民法770条では「離婚の訴えを提起することができる要件」として、以下のように定めています。

①夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

②裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

つまり民法では、配偶者の「不貞行為」を離婚の原因となりうるものとして認めています。

不貞行為とは既婚者が配偶者以外と性交(セックス)すること

ここで「不貞行為」とは、次のことを意味しています。

不貞行為

配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと。

要するに、既婚者が配偶者以外と性交(セックス)すると不貞行為ということです。

民法上、夫婦は「貞操義務」を負いますから、不貞行為はこの不貞義務に対する違反、つまり法律違反になります。

さらに根本的なことを言えば、夫婦の「貞操義務」は、夫婦お互いの「平穏な夫婦(家庭)生活を営む権利」を守るためのものです。

そして、不貞行為は浮気した配偶者とその浮気相手の両方が関与して初めて成立することですので、浮気した配偶者はもちろんのこと、その浮気相手も浮気された配偶者の「平穏な夫婦生活を営む権利」を侵害したことになります。

またそのことから、浮気した配偶者と浮気相手の両方が、浮気された配偶者の権利を侵害したことに対する損害賠償の責任、すなわち慰謝料を支払う責任を連帯して負うことになります。

ただしここで、不貞行為が直ちに離婚に結び付くわけではありません。つまり不貞行為はあくまで「離婚裁判を起こす要件」であって、それだけで直ちに裁判で離婚が認められるわけではありません。裁判では、不貞行為が原因で夫婦関係が破綻して婚姻を継続しがたい状況に至ったかどうか、またその程度や経緯が慎重に考慮されます。

不貞行為にあたるかどうか迷いそうなケース

ところで、上にあげた不貞行為の定義は見単純明快のようですが、具体的に見ると以下のようにけっこうグレーゾーンが広いのです。

1.1回限りの性的関係

1回限りの性的関係も不貞行為になります。

ちょっとした軽い気持ちで、あるいはわずかな心の緩みで、あるいは運命のいたずらで、一度限りの過ちを犯してしまうことは誰しもありうることです。

「1回ぐらい許してよ」と言いたいところではありますが、1回だろうと百回だろうと不貞行為は不貞行為。ゆえに、形式的には上述した離婚裁判を起こす要件になりえます。

とはいえ先にも書きましたが、裁判では形式的な要件だけで判断されるわけではなく、その不貞行為の「重み」が慎重に考慮されます。

ここで「重み」とは、それによって夫婦生活が破綻し婚姻関係が維持しがたい状況となったかどうか、ということです。

実際には、「一度限りの過ち」であれば、本人が十分反省しているならば、長い夫婦生活において乗り越えられるべき一つの壁とみなされて裁判で離婚が相当と判断されることはないようです。

逆に言うと、何回も継続して不貞行為を行った場合は、十分離婚の原因として認められるということになります。

2.風俗店での性的関係

風俗店での性的関係も不貞行為になります。

不貞行為かどうかは行った事実に基づいて判断され、動機は原則的には関係ありません

したがって、例えば夫が欲求不満の解消のために風俗店で性的関係をもった、あるいは妻が金銭的収入を得るために風俗店で性的関係をもった、という場合でも、それぞれ不貞行為に該当します。

もちろんこの場合も、離婚原因と認められるためには婚姻が維持しがたい状況との関連が重要です。配偶者が明示的にまたは暗黙のうちに承諾していたような場合は離婚原因とは認められないでしょう。

3.強姦による性的関係

強姦された場合は不貞行為になりませんが、強姦した場合は不貞行為になります。

不貞行為は、その定義にあるように、「自由な意思に基づいて」行われることが条件です。暴力や脅迫により無理強いされた性的関係(すなわち強姦)、あるいはアルコールや薬物で心神喪失状態にされたうえでの性的関係(すなわち準強姦)は自由意思に基づくものではありませんから、不貞行為にはなりません。

また、(準)強姦した場合は不貞行為になるだけではなく、刑事罰の対象にもなります。

4.性的関係でない恋愛関係

性的関係、すなわち「性交(セックス)」を伴わない精神的な恋愛関係は不貞行為になりません。

例えばメールやLINEでラブラブなメッセージを交換していた、デートをした、手をつないだ、抱き合った、キスをした、ぐらいでは不貞行為にはなりません。

ちなみに「性交」そのものを証拠で証明することはほぼ不可能ですが、かりに当事者が否定していても、ラブホテルに一定時間以上入っていた、一人暮らしの自宅に泊まった、一緒に泊りがけの温泉旅行に行った等々の客観的な状況証拠によって性的関係の存在を推定されることになります。

なお、恋愛感情のないセックスよりも、セックスのない恋愛関係の方が許しがたい、という人も少なくないでしょう。この場合、それによって結果として夫婦共同生活が破綻し婚姻を継続し難い状況に至ったのであれば、それを理由にして離婚の訴えを起こすことは可能です。

5.同性愛による関係

同性愛による関係は不貞行為になりません。

というのも、同性どうしでは「性交」が成立しない、とみなされるからです。

とはいえ、同性愛(あるいはLGBT)に対する認識は時代と共に変化しています。最近では、同性婚も社会的に認められるようになってきていることを考えると、そのうち裁判でも不貞行為として認められるようになるかもしれません。

6.別居後の性的関係

夫婦の共同生活が実質的に破綻して別居するようになった後での性的関係は不貞行為になりません。

不貞行為は基本的に「平穏な夫婦共同生活の維持という権利」を侵害するという意味での不法行為ですから、そもそも夫婦の共同生活が実質に破綻している場合は、もはや侵害の対象となる権利が消滅しているとみなされます。

また、「家庭内別居」でも同様のことが言えます。

ただし不貞行為を理由としなくても「婚姻を継続し難い状況」があれば離婚裁判の訴えを起こすことは可能です。

7.事実婚(内縁)での性的関係

事実婚(内縁)での性的関係も不貞行為になります。

事実婚(内縁)であっても法律上は婚姻と同様の権利・義務が課されますので、不貞行為となります。

慰謝料

不倫配偶者と不倫相手は損害賠償(慰謝料)の責任を共同で負う

不倫(不貞行為)は不貞義務違反であり、平穏な家庭生活を営む権利を侵害する行為ですから、不倫された側はその権利を侵害されたことによる被害(精神的苦痛など)について不倫した側に損害賠償、すなわち慰謝料を請求することができます。

そのさいまた、不倫は不倫をした配偶者(夫または妻)とその相手の共同的な行為ですから、慰謝料の負担についても共同で責任を負う必要があります。

ただし、不倫相手が不倫配偶者を既婚者だとは知らなかった場合は、賠償責任を負わなくてすむ場合もあります。例えば、出会い系サイトなどで知り合って相手のことどほとんど知らないままに肉体関係をもってしまった場合などが考えられます。

ただしそのような場合でも、LINEやメールのやり取りなどから既婚者であることを当然知っていたはずと客観的に推測できる場合は損害賠償の請求を免れることはできません。

慰謝料の負担割合は原則として不倫した配偶者の方が多い

不倫した配偶者と不倫相手は慰謝料を共同で負担しなければなりませんが、基本的に不倫した配偶者が第一次的な責任を負うとみなされますので、原則として不倫相手より相対的に多く負担する必要があります。おおむね不倫した配偶者が6~7割、不倫相手が3~4割が一般的です。

ただしこの割合については、どちらがどの程度不倫を主導したかが考慮されます。

また支払われるべき慰謝料の総額を超えてどちらかにさらに請求すること(すなわち慰謝料の二重取り)はできません。

ちなみに、この負担割合について不倫した配偶者と不倫相手のどちらかが不服だった場合、それ自体が裁判で争われることもあります。

慰謝料の相場は離婚する場合で200~300万円

慰謝料の相場は、権利侵害の程度、すなわち不倫が原因で別居・離婚に至ったかどうかで変わります。弁護士事務所などの情報によると、大まかな目安としては以下の通りです。

  • 別居も離婚もしない場合:50~100万円
  • 別居する場合:100~200万円
  • 離婚する場合:200~300万円

ただしこれはあくまで目安で、個別の事情に応じてかなり変動します。

そのさい個別の事情とは、自分(不倫された側)の精神的苦痛の程度、不貞行為の期間・頻度・内容、婚姻期間、子供の有無、不倫した配偶者および相手の年齢、収入・財産、社会的地位など、非常に様々な多岐にわたるもので、慰謝料の額はそれらの事情をすべて考慮したうえで総合的に決定されます。

[参考]浮気・不倫の慰謝料の相場は? | アディーレ法律事務所

慰謝料請求の時効

慰謝料請求には時効があり、不倫の事実を知ったときから3年以上経過すると時効が成立して慰謝料の請求ができなくなります。

ただし厳密に言うと、不倫の事実を知ってから別居をして離婚に至ったケースなどで、各段階で生じた精神的苦痛(権利侵害)に分けて慰謝料を請求する場合は、時効の起点もそれぞれに対応したものになります。

 

以上、不倫について、とくに法律との関係について簡単にまとめてみました。

ガールズトークの不倫トピを見るさいにぜひご参考にしてください

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